2010年06月20日

アイヴォリー&スティール/モンティ・アレキサンダー


Ivory & Steel
Ivory & Stell

モンティ・アレキサンダー(p)
オセロ・モリアネウ(スティール・ドラム)
ジェラルド・ウィギンス(b)
フランク・ガント(ds)
ロバート・トーマス(perc)

1980年録音


 モンティ・アレキサンダーはぼくにとっては悩ましいピアニストだ。ジャズを聴き始めた頃に「ソウル・フュージョン」「モントルー・アレキサンダー・ライブ」という傑作を続けざまに聴いて、これはもうついていくしかない、とまで思い詰めたのに、その後が続かない。あれだけのテクニックと熱量を持っているのだから、ストレート一本でぐいぐい押しまくるだけでも、見応えのあるいい試合になるだろうに、と思うのだが、妙に小細工をがんばっちゃったり、逆にそこそこのところでお茶を濁したり。すっぴんで世界をとれるのに化粧で台無しになってる絶世の美女を見ているみたいで、とっても歯がゆいのだ。でも、最初の印象が強烈すぎて、何度拍子抜けしてもつい買ってしまう。

 で、このアルバムもほとんど期待していなかったのだが、聴いているうちに、なんだか、これはありだな、という気がしてきた。スティール・ドラム入りのジャズ、確かに珍品に違いないのだけれど、この陽性で大概な波動は、モンティ・アレキサンダーの共振周波数に近いんじゃないだろうか? はっちゃけちゃって、思わず素が出ちゃっている感じがする。モンティ・アレキサンダーの直球バラードも、久しぶりに聴いた気がする。

 ぼくがスティール・ドラムが好き、というのも気に入った理由のひとつには違いない。スティール・ドラムの演奏は大編成で大味なものが多いけれど、このアルバムにはきっちりとソロ楽器として参加していて、たっぷり聴いた感があり、けっこう満足してしまった。ドラム缶をたたいて作る、というおおざっぱ感から、色もの扱いされることも多いけれど、この楽器、かなりの可能性を秘めている気がする。
posted by kiwi at 22:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ

2010年06月13日

ブルース・ムーズ/ブルー・ミッチェル


ブルース・ムーズ
Blue's Moods

ブルー・ミッチェル(tp)
ウィントン・ケリー(p)
サム・ジョーンズ(b)
ロイ・ブロックス(ds)

1960年録音

 ジャズを聴く愉しみはいくつもあるけれど、その一つは予備知識もなく、初めて聴く人のアルバムを買ってみて、10秒くらいで「あっ、当たりだ」と気がついたときのしめた感だとぼくは思う。浮き立つようなピアノのイントロに続いて、今の時期の夜風みたいにクリアで、平熱で、ちょっと人ごとみたいな感じもするトランペットの音。はじめまして、ブルー・ミッチェル。

 この人の音は、たぶんきれいすぎ、ピュアすぎるのだろうと思う。シャウトしないロッカーみたいなもので、声を嗄らしてまで伝えたいことがあるわけでもないのね、みたいなとらえ方をされても不思議じゃない。いま一つメジャーになりきれなかったのはそのせいじゃないだろうか?
 でも、声高に言いつのれば伝わるわけでも、もちろん、ない。ひとにはそれぞれの声があり、伝えたいことは自分の声で伝えるべきだ。
 実際、このアルバムは、伝わる。

 ピアノすげえかっこいいな、と思ったらウィントン・ケリーだった。これもまた知らないで聴く愉しみの一つ。
posted by kiwi at 21:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ラッパ