2013年02月24日

ジャズ・クインテット -60

JAZZ QUINTET '60'JAZZ QUINTET -60'

アラン・ボッチンスキー(tp)
ニルス・ヒュースン(ts)
ベント・エクセン(p)
ニルス・ヘニング・オステッド・ペデルセン(b)
ビヤルン・ロストヴォルド(ds)

1962年録音

この演奏を初めて聴き、ジャケットを眺めたときに感じたのは、どういうわけか、郷愁だった。

かつてそういう時代とそういう場所があった。自分は確かにそこにいて、今とは違う姿で、今とは違うことを考えていた。懐かしい友達も一緒だった。その時代、その場所にはもう戻れない。そういう実感だ。
なぜだろう。このアルバムが録音されたときに、ぼくは生まれてもいないのに。ベースのペデルセン以外は名前も知らず、読み方だってよくわからないのに。

ジャズを聴いていると時々、そういうめまいのようなものを感じることがある。
かつての流行歌を聴いて、青春時代を思い出すのはよくあることだが、そういうものとはどこか違う。もっとひりひりとした、切ない感覚だ。そこにかつて自分が持っていて、今は失ってしまったものがあるような。名前を呼びかければ取り戻せるかもしれないのに、その名前がどうしても思い出せないのだ。

これはいったい何なのだろう?
posted by kiwi at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | コンボ・グループ

2013年02月11日

バック・トゥ・バードランド/ジョージ・シアリング

Back to BirdlandBack to Birdland

ジョージ・シアリング(p)
ドン・トンプソン(vib)
レグ・スチュワーガー(g)
ニール・スワィンソン(b)
デニス・マックレル(ds)

2000年録音

ヴァイブとギターの加わったクインテットは「九月の雨」以来のジョージ・シアリングの十八番。上品で、粋で、シルクの手触りがする音楽だ。
もっともぼくはこの人は自分のクインテットの外での演奏のほうが変幻自在で好きだ。「イヴニング・ウィズ・ジョージ・シアリング&メル・トーメ」なんか聴いていると、どうしてもっとこういう演奏をしないんだろうと思うこともある。手触りの良さはそのままに、スケールとスリルが加わってくるのだ。

とはいえ、音楽にはいつもスケールとスリルが必要というわけでもないんだろう。枠の中できちっと与えられた仕事をするのも大切だ。そうでないと世界は回っていかない。
ジョージ・シアリングの音楽を聴いていると、ふと映画監督、アルフレッド・ヒチコックのセリフを思い出すことがある。彼は撮影現場で映画論をふっかけたがるイングリッド・バークマンに向かってこう言ったらしい。「イングリッド、たかが映画じゃないか」

ジョージ・シアリングが音楽のことをどう思っていたのかは知らない。だがもし誰かが「あなたはああいう演奏だってできるのに、どうしてこんなムード音楽みたいな演奏をやめないんですか?」と聞いたとしたら、にやりと笑ってこんなことをいいそうな気がするのだ。「きみ、たかが音楽じゃないか」。

で、それはたぶん正しいんだろうな、と思う。
posted by kiwi at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ