2014年06月22日

ロシターロード/アーマッド・ジャマル

Rossiter Road
Rossiter Road

アーマッド・ジャマル(p)
ジェームス・カマック(b)
ハーレン・ライリー(ds)

1986年録音

名子役がそのまま大人の名優になるのは難しい。本人が成長するばかりではなく、時代も変わるからだ。セーラー服の美少女も、25歳でセーラー服着たらやっぱり痛い。ボディコン・ワンレンも今やったら浮きそうだ。流行というだけではなく、潮流や文法みたいなものがやっぱりあって、それが底から時代を支えているのだろうと思う。

音楽に同じことが言えるかどうかはまた別の話だが、このアルバムを聴きながらぼくが考えていたのはそういうことだった。50年代のアーマッド・ジャマルと80年代のアーマッド・ジャマル。30年近い時を経て、ジャマルは大きく変わり、変わらない。変わったのは時代の潮流、変わらないのはジャマルという核。柔軟と堅固の不思議なユニゾン。この自由な感覚が癖になる。


2014年06月02日

ベイシー&ズート

Basie & ZootBasie & Zoot

カウント・ベイシー(p)
ズート・シムス(ts)
ジョン・ハード(b)
ルイ・ベルソン(ds)

1975年録音

ヘトヘトに疲れて帰って来て、こわばったワイシャツを脱ぎ捨て、熱い風呂に肩まで浸かった時に思わず、

うーあー

という声が出てしまうことがあるけれど、ああいう感じのアルバム。

ケレンも見栄もこだわりもなく(たぶん)、よーしやるかー、とジャズをやっているだけなんだけれど、これ以上何がいるのだ。思わず指が動き、足が動く。スタジオ録音のはずなんだが、ライブを聞いている気分になる。

「ジャズってどんなの?」と訊かれたときに、例えばこういうの、と聴かせたい一枚。Amazonで見たら893円って書いてあるんだけど、いったいどうしろと?

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2014年06月01日

ビル・エバンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ

ビル・エヴァンス・トリオ・ウィズ・シンフォニー・オーケストラ
Bill Evans Trio With Symphony Orchestra

ビル・エバンス(p)
チャック・イスラエル(b)
ラリー・バンカー(ds)
クラウス・オーガマン・オーケストラ

1965年録音

グルメの先輩に連れられて、なんとかという蕎麦の名店に行ったことがある。なんでも東京で店を出していると客が来すぎるので、蕎麦を追求するためにわざわざ山の中に引っ込んでしまったんだそうで、半日かけて車で行ったのである。ああっ、そんなに蕎麦つゆつけるな、薬味入れるな、ぐちゃぐちゃ噛むな、といろいろなことを言われて、ちっともうまくなかった。ぼくは今でも蕎麦の味がわからない。うどん派だ。

ただ、当時、先輩が何を言いたかったのかは、今になってなんとなくわかるようになった。蕎麦の素の味を味わえ、ということだったのだろう。蕎麦はわからないが、本当にうまいうどんは茹でたてを流水で締めて生醤油をぶっかけたのが一番うまいし、うまいパン屋はシンプルなロールパンにバターだけちょっとつけてほおばるのが一番うまい。
一方、うまい鍋焼きうどんやうまいカレーパンにはそれぞれの詩と歌があり、それ自体完成した構造物だ。うまいうどんを使えばうまい鍋焼きうどんができるんだろ、というのはちょっと違うのである。

ぼくはこのアルバムを聴くたびに思うのだが、オーケストラいらなくない?

posted by kiwi at 22:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ