2008年05月11日

ウィンター・ムーン/アート・ペッパー


Winter Moon
Winter Moon

アート・ペッパー(as)
スタンリー・コーウェル(p)
ハワード・ロバーツ(g)
セシル・マクビー(b)
カール・バネット(ds)


1980年録音


 ぼくは子どものころ、みんながスイカに塩を振りかけるのが納得いかなかった。甘みがスイカの身上なのに、なぜわざわざそれを打ち消すようなことをするのだろう。スイカに失礼ではないか。
 スイカに塩をかけて食べるようになったのは、もう少しあとのこと。ひとを好きになり、別れ、スイカも人生も、甘いだけが味わいではない、ということに気づくくらい、大人になってからのことだった。
 ウソだけど。


 いずれにしても、「酸いも甘いもかみ分けた」という言葉があるくらいだから、相反する要素が食べ物や人生に奥行きを持たせるのは確かなようで、だったら音楽だって同じに違いない。アート・ペッパーの乾いたアルトに、水気たっぷりのストリングスというのは、スイカに塩以上に、隠し味を引き出す絶妙の組み合わせだった。よい音楽を聴いていると情景が浮かんでくることがあるけれど、このアルバムを聴いていて浮かんできたのは、どこかの大都会の人気のない街角に、凍えるように冴えわたる月明かりに照らされて、コートの襟を立てて立ちつくす初老の男、という、どこかで見た映画の一シーンみたいな風景だった。


 彼は誰を待っているのだろう? 
 どこに行こうとしているのだろう?



 このアルバムは、pororompaさんのブログで知った。どうもありがとうございました。
posted by kiwi at 21:32 | Comment(0) | TrackBack(1) | サックス
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【音盤的日々 157】 ART PEPPER / WINTER MOON
Excerpt:  春の訪れが遅い。例年は今頃、花粉症を気にしだしている頃だが、今年は冬が長引いている気がする。  風邪をひいて寝込んだために、仕事も滞り、学級にも目が行き届かなくて、つらい日が続いた。ようやく体..
Weblog: ぽろろんぱーぶろぐ
Tracked: 2008-05-12 19:31